『ルックバック』は『チェンソーマン』で大人気の藤本タツキ先生により2021年に「少年ジャンプ+」で発表された長編読切の漫画作品です。
アニメ映画化も決定しており、2024年6月28日から上映中です。
本記事では藤野歩の性格や家族構成、プロデビューするまでの過程や道のりについて解説。
また、共に漫画を描き続けてきた京本を救うために作り上げた「もう1つの世界線」や本編以降の展開についても迫ります。
本作品の全編ネタバレの詳細は「【ルックバック】漫画版の全編ネタバレ解説 | 最後の結末と映画との違い」の記事を参照ください。
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藤野歩(ふじの あゆみ)とは
藤野歩は京本と並ぶ本作品の主人公キャラです。
性格や学校での立ち位置、画力などほぼ全てにおいて“京本と対照的なタイプ”の少女ですが、京本と一緒に漫画を描き続けていくことで成長していきます。
藤野歩の性格や学校生活 | 負けん気が強くクラスの人気者
藤野は不登校を続けてきた京本と対照的に、自分が得意とする漫画が学年新聞に掲載される度に注目を浴び続けてきたクラスの人気者です。
しかし、途中から掲載され始めた京本の漫画(背景画)で「自分(藤野)を遥かに超える画力」を見せつけられたことで対抗心に火がつきます。
その負けん気の強さで絵の猛練習をした結果、藤野の画力も大幅にアップしますが、姉やクラスメイトから受けた指摘により漫画を描くことを一時的にやめてしまうこともありました。
藤野の家族構成 | 姉と両親との4人家族だった?
家族について全く触れられないまま終わった京本とは違い、藤野の方は“メガネをかけた姉”が少しだけ登場しています。
さらに、姉から「母さん達が娘(歩)のことを心配している」と告げられていた場面から両親も健在であり、藤野歩は「姉や両親との4人家族だった」と考えられます。
京本との出会いで漫画を再開 | 藤野キョウの快進撃から別れへ…
漫画を描くことをやめたまま迎えた小学校の卒業式を迎えた藤野でしたが、先生から頼まれた「京本の卒業証書」を届けに行くことがキッカケで、漫画を再開させることになります。
自宅から出てきた京本から「藤野の大ファンです」と予想外な想いを告げられた藤野が「漫画の賞に自分の作品を出すことを考えている」などの嘘をついてしまいますが、その嘘が逆に京本のテンションを更に跳ね上げる結果となり、中高時代では「学校に通いながら京本との共同で漫画を描く生活」に変わりました。
2人の共同作業のために「藤野キョウ」というペンネームで応募した「メタルパレード」という作品が見事に「準入選」に選ばれた上、掲載誌にも「まさかの13歳コンビ!」というフレーズまで載せられたことで高い注目を浴び始めます。
その後も2人の快進撃は止まらず藤野たちの作品が編集者の目に止まり、やがて藤野と京本へ直々に「プロデビュー(即ち連載)の話」まで持ちかけられました。
この時点では既に高校生に成長していた上に卒業後の進路についても考えなければならない時期に差し掛かっていたため、編集者からは「高校卒業後に連載デビューを」と勧められます。
しかし、ここで藤野に思いがけぬ別れが訪れました。
プロ作家として連載デビューを目指してきた藤野とは真逆に、京本の方は以前からの目標である「山形県の芸大への進学」の方を選んだため、この時点で2人は完全に別れるように決別しました。
そのため、藤野は自分1人の名義で連載デビューを果たしています。
京本との死別 | 自分の4コマ漫画を破り捨てた後に作られる新たな世界線
京本と別れて1人で上京した藤野が「シャークキック」という作品でプロ作家デビューを果たして連載に追われる中、思いがけぬ形で「京本の死亡」を知らされます。
この日は2016年1月10日、報道で流されたニュースや実家の母親からの電話で”京本の死亡”を聞かされた藤野は連載を休止してまで帰省して、京本の自宅を訪れます。
藤野が訪れた時点で京本の通夜が既に終了していますが、ここで藤野はかつて自分が紙切れに描いた4コマ漫画を発見します。
その漫画の内容とは、大勢の人達(おそらくは同級生たちと思われる)が京本の自宅前まで押しかけながら「出てこい」「出てこないで」と2つの派閥に分かれながら叫び続けた末に京本が白骨死体と化す結末で幕を閉じるというものでした。
小学生時代に自分(藤野)が描いて置いていった漫画のせいで京本が死んだと実感し、自分を責めながら放心状態となって涙を流します。
京本の名前や声優、死亡の原因などについては『【ルックバック】京本の名前や声優 | 死亡の原因は藤野の漫画?』の記事で紹介しているので、ぜひこちらも参照ください。
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藤野歩の声は女優「河合優美さん」が担当
![【ルックバック】藤野歩の漫画と声優 | 京本を死亡から救った世界とは](https://animegaphone.jp/wp-content/uploads/2024/06/lookback-hujinoayumi3.jpg)
出典:アニメイトタイムズ
藤野歩の声を担当しているのは「鈍牛倶楽部」に所属する女優・河合優美さんです。
河合さんは数多くの映画やCM、TVドラマに出演されており、2021年に放送されたTVドラマ『夢中さ、きみに。』の荒川役で初レギュラーを獲得されました。
河合優美さんの代表作(キャラクター)は、以下のとおりです。
- 『少女は卒業しない』山城まなみ役
- 『あんのこと』香川杏役
- 『ナミビアの砂漠』カナ役
- 『ワンナイト・モーニング』旗本たまこ役
藤野たちが描いた漫画の作品数 | 連載作品の元ネタとは
晴れてプロ作家として連載デビューを果たした藤野ですが…
そうなるまでの過程や道のりも決して並大抵のものではありませんでした。
ここでは、藤野が小学生時代の4コマ漫画や京本とのコンビで描いてきた漫画作品の本数などについて解説します。
藤野が小学生時代に描いた4コマ漫画は153本
1週間ごとに発行される学年新聞の中で藤野が描く4コマ漫画は大まかに計算した結果、実に153本程となります。
小学3年から6年生の8月という3年間もの年月にわたり描き続けただけでも、まだ小学生とは思えぬ程の快挙と言えますね。
さらに6年生になってからは隣に掲載された京本の上手すぎる背景画を見せられたことにより、強いライバル心を燃やしながら描いて点も見逃せません。
「継続は力なり」という諺を聞きますが、藤野が中高生時代に賞を取れたことや高校卒業後の連載デビューを果たせたのも、藤野自身が長く続けてきた努力の賜物と言えるでしょう。
京本とのコンビで描いた読切作品は5本以上
中学生に成長してからは京本とのコンビとして漫画を再開させた藤野ですが、4コマ漫画1本と本格的な読切作品1本では完成までにかかる期間や労力も桁違いであり、最初の作品を完成させるまでに1年もかかっています。
それでも、初めて完成させられた作品を皮切りに「メタルパレード」の後にも「海のある町々」や「セミ人間」「ミノムシ」などの作品を完成および応募にまで出していました。
これらの作品だけでも藤野と京本のコンビによって描かれた作品数は実に5本以上もあったことが分かりますね。
藤野の連載作品は『チェンソーマン』が元ネタ?
京本と決別した後、藤野は自分だけの名義でプロデビューを果たした上「シャークキック」という作品で連載デビューまで果たしています。
京本が死亡した日(2016年1月10日)の時点で「シャークキック」の単行本は11巻まで刊行されていた上にアニメ化まで決定していたため、かなり高い人気を得ていました。
「シャークキック」本編のストーリーや主人公の設定までは語られていないものの、この作品の元ネタは同じ藤本先生の大人気作品『チェンソーマン』に登場したビーム(サメの魔人)である可能性が高いと考えられます。
その理由として「シャークキック」の主人公が“サメのキャラクターである点”やその主人公が“豪快に暴れながら戦うバトル漫画である点”からも、デンジやビームが元ネタにされたとも解釈できます。
ビーム(サメの魔人)に関する詳細は「【チェンソーマン】ビーム(サメの魔人)の性格や能力 | 死亡と復活・デンジやマキマとの関係性」の記事をご覧ください。
![](https://animegaphone.jp/wp-content/uploads/2022/06/chainsawman-beam1-320x180.jpg)
藤野が京本を死亡から救った別の世界線とは
最後は、京本の死亡という結末を変えるために藤野が作り出したパラレルワールドについて解説していきます。
藤野は自らの意思で「京本と出会わない歴史」を作り上げた
藤野が自分の4コマ漫画を破り捨てながら京本の部屋のドアに入れた瞬間、部屋の中にはまだ小学生だった頃の京本がいました。
まるで自分たちが出会う前の過去にタイムリープしたような光景が描かれますが、この瞬間こそが「藤野が作り出した、自分が望む未来」の始まりとなります。
現実世界での過去とは違い、藤野が素早く逃げるように京本の自宅から出て行ったことにより「藤野と京本が出会わない」という現実世界とは全く異なる歴史や世界線を作ったわけです。
未来を察知した藤野が不審者を倒して京本を助けた
藤野と出会わぬまま成長しても京本が山形県の美大に進学した未来や不審者から襲撃される未来までは変えられていません。
しかし、これらの“変わらなかった未来”こそが藤野の狙いであり、彼女は芸大に不審者が侵入してくる日(2016年1月10日)に備えて、密かに帰省していました。
その結果、藤野が間一髪のタイミングで間に合い、小学生の頃に姉と一緒に習っていた空手の蹴りと拳で不審者を倒すことにより、京本を救うことにも成功します。
しかし、今度は藤野の方が無事では済まず、最初に繰り出した蹴りの着地に失敗したことで足を骨折したため、京本と連作先の交換をした後に救急車で搬送されていきました。
パラレルワールドで交わした2人の約束が果たされない理由
救急車へ搬送されるまでつき添ってくれた京本に対して「アシスタントなってね!」と笑顔で誘う藤野でしたが…
このパラレルワールドの中でも藤野と京本が一緒に漫画を描ける日は来ないと考えられます。
京本を救えた結末はあくまでも藤野の願いで築かれたパラレルワールドに過ぎず、現実世界での京本が死亡した結果までは変えられていません。
さらに京本を救えた後の藤野が再び現実世界へと戻った上で「シャークキック」の連載を再開させていたことにより、藤野の方が本当の意味での「京本との決別」を果たしたものとも考えられます。
そのため、藤野と京本が本編の結末後にまた会えることはなくなり、藤野は現実世界で、京本は藤野が救ってくれたパラレルワールドで“それぞれの未来や人生”を歩んでいったものと解釈するべきではないでしょうか。
まとめ
今回は藤野歩の性格や家族構成、プロデビューするまでの過程や道のりについて解説しました。
京本とのコンビで再開させてからも、キャラクターの絵やストーリー作りは藤野の方が担当してきたはずですが、それでも京本が描く”上手すぎる背景画”もあったからこそ、受賞や連載デビューまで果たせたものと思われます。
本来ならば、藤野自身が作り出したもう1つの歴史や世界線…
即ちパラレルワールドの中で再びコンビを組んだ上で「シャークキック」の再開をできることが本人たちにとって最も望ましい結末だったかもしれません。
しかし、いくらパラレルワールドで京本を救えたとはいえ、自分がいる現実世界にまで連れていくことが出来ない以上、それも叶わぬ夢や希望で終わったと解釈するべきですね。
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